障がいのある方への虐待防止ガイドブック<平成26年度発行>
オモテ表紙
ウラ表紙
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はじめに
一般社団法人 長野県知的障がい福祉協会
会長 宮下 智
歩いた道筋は形として残す。そんな仕事の仕方ができれば美しいと思う。特に形としては見えにくい対人援助を生業としている者にとって、見えにくいものを見えるものにしていくというプロセスにこそ、その専門性が潜んでいるように思う。
まずは、見えにくいものを見えないままにしておくことは、見たいものも見えないままに終わらせることを意味しているが-自らの支援内容の実効性を見ることができないのであるから、本当に残念なことなのであるが-、見たくないものをそのまま見えないままにしておくことについては、ことのほか好都合のように思える。つまり、私たちの仕事はこの二律背反の上に成り立っていて、見たいものを見えるようにすることで専門性を手に入れようとすれば、それは同時に見たくないものを見えるようにしなければならないことであるから、手に入れたかと思えた専門性は、自らの掌の上から零れ落ちていってしまうことになる。で、人はどうするか…、いったん手に入れた専門性を手放すことは、心が傷つくことであるので、見たくないものを見えないままにすることによって専門性を放棄する道を選び、心が傷つくことを避け逃げ回ることを選ぶようになるのである。
見たくないもの、それは心理的虐待を犯しているのではないかという不安である。知らず知らずのうちに、障がい者の心を傷つけているのではないかという汚点である。
この間、長野県知的障がい福祉協会は、自らの支援内容の実効性を高めようと、さまざまな先駆的な研修を企画し、まっしぐらに進んできた。しかし、そのことは物事には光と影があり、陽の射すところばかりを歩き続けることの困難さを明確にする道筋でもあった。影の部分を引きずり出さなければ、これ以上かっこいい支援論を振りかざすことができないではないか!にたどりついたのである。
障がい者権利条約、障がい者虐待防止法、障がい者差別解消法…、身を引き締めなければならない時代の要請が続く。誰もが殴る、蹴るの不当さは熟知している。にもかかわらず虐待の通報案件は無くならない。賞罰や交換条件の係わりは、不適切な支援ではないと知りつつ、安易な道を歩き続ける。理屈やお説教では変わらないこの現実。しかし、私たちは何とかして相互牽制、相互指摘、自己評価などを通して一歩でも二歩でもこの険しい道を歩み続けたいと思う。
まずは、虐待グレーソーン撲滅のためのどの事業所でも取り組むことができるツール開発を目標にした。その過程で、グレーソーン事例を集めることをステップとして次の研究段階に進むことを目論んだ。いずれも一定の成果を上げつつも、現時点での見える形であると位置づけて頂き、各事業所において、更なるブラッシュアップを図って頂き、さらにツールとしての完成度を高めて頂きたいと思う。
この事業に取り組むにあたり、まさに的を得た人材を人権倫理委員会に得ることができた。委員さん方の献身的な努力なしにこの冊子は生まれなかった。ここに心から感謝したい。
目次
障がいのある方への虐待防止ガイドブック -より良い支援を目指す全ての人へ-
1)目次
1P
2)はじめに 宮下智会長
2P
3)長野県の障がい者虐待の状況と取組
長野県健康福祉部障がい者支援課
3P
4)障がい者人権侵害(虐待)撲滅への想い
勝山章長野県障がい者虐待防止推進員
4P
5)家族の想い小菅孝子保護者会副会長
5P
6)障がい者人権侵害の気づきを求めて!
「ガイドブック作成の想い」
田上昭彦委員長
6P
7)障がい者虐待の種類と具体例
7P
8)合理的配慮とは
8P
9)県内障がい者施設からの事例の提供及び検証までの流れ
9P
10) 県内障がい者施設からの事例と検証
10P~20P
11)事例の考察と今後の課題
21P~25P
12)県内施設における虐待防止に向けた取り組みと事例の紹介
(1)例1-(チェックシート)
26P~28P
(2)例2-(チェックシート)
29P~41P
(3)例3-(チェックシート
42P~43P
(4)例4-(具体的な取り組み方の事例)
44P~45P
(5)例5-(具体的な取り組み方の事例
46P~47P
13) 虐待防止研修モデルの紹介(指針がない施設の参考)
48P~50P
14) 自己チェックリストの紹介
(1)長野県知的障がい福祉協会版
(初任者用とそれ以外の2本立て)
51P~59P
(2)厚生労働省版
60P~63P
(3)全国社会福祉協議会版
64P~65P
15) インフォメーション・編集者紹介
66P~67P